ドローンの高機能化を支える光技術

 様々な分野で活躍が期待されているドローン。この4月後半、幕張メッセで開催された第2回国際ドローン展でも多種多様のドローンが展示されていましたが、ドローン用のレーザーレーダーや高機能センサーといった光デバイスや、はたまたこんな使い方もあるのかといったものなど、ちょっと面白いものを幾つか見かけたので紹介したいと思います。

NTT東日本◆NTT東日本では、設備資材や災害復旧用物資などの運搬に用いるドローンを試作しました。確かにこういう使い方もありますよね。ケーブルドラムを運搬して直接通信ケーブルを敷設するのに使うそうです。
 最大積載量は20kgで、メタルケーブル200m(1ドラム分:約9kg)や光ケーブル500m(1ドラム分:約10kg)を運搬します。2枚一組のローターを4機備え、ボディーは直径30mmのカーボンフレームで出来ています。

自律制御システム研究所◆自律制御システム研究所のmini surveyorは、自らが考えて飛行する(自律飛行)ドローンです。レーザーセンサーやカメラセンサー、GPSなどのセンサー情報を複合させ、独自のアルゴリズムで位置・速度を求めて飛行制御に用いているので、橋梁の下など、GPSが利用できない環境でも安定な自律飛行ができるということです。撮影にはレーザーセンサーを用いたレーザーオートフォーカスを採用しています。撮影対象までの距離がすぐに分かるので、画像の位相差やコントラストを用いた一般のデジタルカメラのオートフォーカスに比べ、周りの明かりが暗い時でもピント合わせの精度が落ちることなく、素早く焦点を合わせることができるそうです。

NEC◆NECが研究開発中なのが可視光通信を用いたドローン固体識別システム。LEDタグを搭載したドローンとの可視光通信によって不正なドローンを識別して、イベントでの安全・安心をサポートします。複数のドローンが飛び交う環境でも、モニターには識別された不正ドローンが視覚的に分かるよう表示されます。可視光通信は、電波干渉を受けにくく、セキュリティー上無線通信が使えないような環境でも使用することができます。電波法の規制を受けないので設置が容易というのもメリットに挙げられます。

コーンズテクノロジー◆コーンズテクノロジーが取り扱うFLIR Systemsの赤外線カメラは、リーズナブルな価格で、かつ小型・軽量なのでドローン搭載に適しているとのことです。対応のmini-USBケーブルを接続するだけで電源がオン、アナログビデオ出力ができます。非冷却式VOxマイクロボロメーターを採用していて、解像度は640×512ピクセルと336×256ピクセルの2種類、スペクトル幅は7.5~13.5μm、フルフレームレートは30Hz(NTSC)と25Hz(PAL)で、寸法は2.26×1.75インチ、重量は90~115gというスペックになっています。
 

北陽電機◆北陽電機が参考出品したドローン用測域センサー、Smart-URGは二つのミラーユニットが付いているのが特長。このミラーで水平・垂直を同時にスキャンします。波長905nmの半導体レーザーを用いていて、垂直方向を十字にスキャンして地面までの距離を測ります。スキャン角度は水平方向が190度、垂直方向30度、計測距離は15m(暫定値)で、測定精度は±4cmとなっています。190g以下という軽量化も実現しました。寸法はミラーを含めて156×70mm。水平方向にある障害物との衝突防止や着陸時に地面と衝突するのを防いでドローンを守ってくれます。

アルゴ◆アルゴの全方位レーザー・イメージングユニット、Velodyne LiDARは波長903nmの16個のレーザー送受信センサーを内臓しており、水平方向360度、垂直方向30度の3Dイメージングを可能にしました。1秒間に30万ポイントを測定でき、測定精度は約±3cm、測定距離は100mまで対応します。ヘッド寸法は103.3×71.7mm、重量は標準で830g、軽量版で590gとなっています。ドローンの他、自動車やロボットなどにも搭載でき、三次元マッピング用途に屋内外で使用できるとのことです。

◆写真は取れなかったのですが、ジェピコはQuanergy Systemsの3D LiDARセンサーを出展しました。波長905nmの8個のレーザー送受信センサーを搭載していて、水平方向360度、垂直方向20度、測定精度は3cm以下、測定距離は150mまでで寸法は102×86mm、重量900gというスペックになっています。

 ドローンは飛行性能ももちろん重要ですが、何を載せるかでその用途はさらに拡大して行くはずです。その意味で、光技術を用いたデバイスは非常に重要な意味合いを持っていて、いわばドローン普及・発展の縁の下の力持ちの役割を担っていると言えそうです。

編集顧問:川尻多加志

 

カテゴリー: レポート パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です