負債総額は176億3,200万円(前年同期比18.6%増)でした。このまま行くと年間ベースで最多を記録した2015年の負債総額213億5,500万円を上回りそうです。
負債額別で見てみると、1億円以上5億円未満が最多で14件(構成比45.1%)となっていて、次いで1千万円以上5千万円未満が7件(同22.5%)、5千万円以上1億円未満が6件(同19.3%)と続いています。
これに対し2016年上半期に発生したすべての企業倒産4,273件の中では、1千万円以上5千万円未満が最も多く、構成比で53.6%を占めています。太陽光関連事業者の倒産は、設備への先行投資もあるので全業種よりも負債規模で大型化しやすい傾向にあるようです。
倒産を原因別で見てみると「販売不振」が最も多く16件(構成比51.6%)と半数を占め、次いで「事業上の失敗」が7件(同22.5%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」が各2件(同6.4%)と続いています。
上半期発生のすべての企業倒産4273件の内では「事業上の失敗」の構成比は4.9%(211件)に過ぎません。これに比べると、太陽光関連事業者の「事業上の失敗」は突出しています。注目市場として規模拡大が見込まれ、一部企業が実現性を欠いた安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産するケースが多いことを示していると思われます。
太陽光発電協会の発表した「日本における太陽電池モジュールの出荷量」によれば、2015年度の太陽光パネルの国内出荷量は714万キロワット、前年度比で23%も減っています。5月には改正再生エネルギー特別措置法が成立して、認定制度と買い取り価格の設定方法も抜本的に見直されました。
フィード・イン・タリフ(FIT)導入の際、太陽光発電は他の再生可能エネルギーよりも高い買い取り価格で優遇されました。さらに、何故か発電時ではなく認定時で価格が決まるという制度も導入されました。それに加え計画から稼働までが短時間で済むために、メガソーラーの運営やソーラーシステム装置の販売、設置工事など、多様な形態で参入する企業が殺到、いわゆる太陽光バブルが起きました。
しかし、それ以降の段階的な買い取り価格の引き下げや同業者の増加等によってバブルは終焉、太陽光発電ビジネスは冬の時代に入ったと言われていますが、見方を変えれば、これがビジネスの普通の姿であって、ようやくそこに戻って来たと言えるかもしれません。
濡れ手に粟から健全なビジネスへ。これからは光電変換効率や長期信頼性といった、地道な研究開発にも皆の注目が集まることを期待したいものです。
編集顧問:川尻多加志