有機EL照明はデザインで勝負!

前回ブログで、ソニーとパナソニックが有機ELディスプレイパネルの開発提携を解消したという事をお伝えしましたが、有機EL応用でもう一つ注目されているのが照明分野です。そこで、1月15日(水)から17日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催されたライティングジャパン2014に行ってきました。
ライティングジャパン2014は、次世代照明技術展、LED/有機EL照明展、東京デザイン照明展の三つの展示会で構成されています。全体の展示会における出展品はというと、すでに大きな市場を形成しているという事もあって、LED照明関連が圧倒的に多いのですが、さて有機EL照明はどんなものが?という事で、会場内を探してみました。

結果として、有機EL照明の多くが東京デザイン照明展に出展されていました。これは、有機EL照明が一般家庭やオフィス、工場などで使うには価格など幾つかの面で、まだLEDに比べて不利という点に加え、有機ELが持っている形状を始めとした特性の優位性を前面に打ち出せるデザイン照明で強みを発揮できるという事でしょう。

ルミオテックのブース有機EL照明のパイオニア的な存在であるルミオテック。2種類の正方形モデルと3種類の短冊形モデルを有していて、それぞれに2,800K~4,900Kの色温度を揃えています。輝度は3,000cd/m2、厚さは2.1mmと2.3mmがあります。展示会では日本ベッド製造と共同で、ベッド周りの寝室什器に有機ELパネルを張って、睡眠に適した柔らかい光を生み出せると提案していました。この他、多くのデザイナーが設計した有機EL照明も展示していました。

パナソニック出光OLED照明のブース一方、パナソニック出光OLED照明は色温度3,000K(輝度:3,100cd/m2)、4,000K(輝度:2,800cd/m2)、5,000K(2,600cd/m2)の3種類のパネルをラインアップしています。こちらの厚さは2.22mmだそうです。

 

 

 

フィリップスのブースこの2月から「Lumiblade OLED Panel GL350」で日本市場に参入すると発表したのがフィリップス エレクトロニクスジャパン。色温度は3,200K、通常時4,000cd/m2、高出力時6,500cd/m2、厚さは3.3mm。展示会場ではインターラクティブミラーと3Dモジュールシステムを参考出展していました。インターラクティブミラーとは、有機EL照明とミラーが合体したもの。細かいブロックに分かれて光っている有機EL照明の前に立つと、自分の姿が映る部分のブロック照明が消えてミラーになるという仕組みです。

東雲LCD(左)とタカハタ電子(右)のブースLG製パネルを使っているものも幾つかありました。東雲LCD(写真左)の有機ELフレキシブル照明やNEXTのオーディオ・スタンド、リビングルーム用ムードライトなどはLG製でした。

タカハタ電子(写真右)が出展したデスクスタンドは、診療室などの医療現場でシーンを選ばずに使えるというもの。看護師が夜間巡回の時に使うナースライトは、まぶしくないので患者の睡眠を妨げないという事です。こちらは製品によってパイオニア、ルミオテック、パナソニックのパネルを使い分けているそうです。

関連部材に向けますと、日本電気硝子が有機EL照明用の高屈折率ガラス基板「HX-1」を出展していました。nd1.63という屈折率を持つこの基板は、オーバーフロー成形法で作られているので、非常に平滑な表面を持っています。散乱層など凹凸を形成する他の内部光取り出し技術に比べ、歩留まりを低下させないそうです。同社は、厚さ35μmという超薄型ガラスを長尺ロールに巻いた「G-Leaf」も出展。ガラスの優れた機能と信頼性をそのままに、ガラスのフィルム化を実現したという事です。

ところで、一般的に有機ELはLEDに比べて寿命が短いとの指摘があります。ところが、照明器具に使われているコンデンサなどの部品寿命は、パネルよりはるかに短いそうです。ですからパネル寿命が延びても、その前に他の部品が壊れてしまって照明器具として予想より早く故障してしまうという声を会場で聞きました。LED照明でも同じ事が言えるそうですが、本当でしたら「それって、どうなのよ?」って気がしますね。
そういえば、ずいぶん前に買った我が家のLED懐中電灯は、チップは大丈夫なのですが接触が悪いのか、何回か叩かないと点かなくなってしまいました。

編集顧問:川尻多加志

 

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