表示技術の進展に期待される大学の研究

8月27日(木)と28日(金)の両日、東京ビッグサイトにおいて「イノベーション・ジャパン2015」が開催されました。
この展示会は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のビジネスマッチング・ゾーンとJST(科学技術振興機構)の大学見本市ゾーンの二つに分かれていて、ビジネスマッチング・ゾーンではNEDOが支援する中小・ベンチャー企業および研究者の100の開発・研究成果が、大学見本市ゾーンでは国内外の大学等162機関から401に及ぶ研究成果が展示されました。今回は大学見本市ゾーンの中から、表示技術に関連する研究成果をいくつか紹介します。

MEMSマイクロミラーと「健康グラス」(東北大学大学院工学研究科・羽根一博教授、佐々木敬助教)

MEMSマイクロミラーと「健康グラス」(東北大学大学院工学研究科・羽根一博教授、佐々木敬助教)

目の病気は、患者が違和感を感じたり、定期健診によって発見されることが多く、一般的に早期発見が難しいと言われています。
MEMS走査マイクロミラーを用いた眼鏡型ウェアラブルデバイス「健康グラス」は、眼鏡のように装着して目の網膜に光を直接形成するヘッドアップディスプレイで映画などを見つつ、その光学系を利用して網膜および目の表面からの反射光を同時に測定することで日常的に網膜情報をさりげなく取得、それによって目の病気の早期発見も行なおうというものです。 
 

敷くだけで片側通行を実現する完全無電源の歩行誘導シート(大阪大学大学院情報科学研究科・古川正紘助教、電気通信大学・梶本裕之准教授、野嶋琢也准教授)

敷くだけで片側通行を実現する完全無電源の歩行誘導シート(大阪大学大学院情報科学研究科・古川正紘助教、電気通信大学・梶本裕之准教授、野嶋琢也准教授)

  
通行量の多い駅の構内などでは、混雑予防のため片側通行しなければなりませんが、通行人に文字や矢印を読んでもらうという従来の方法では、直接の行動に結びつけることが中々難しいようです。本シートを使えば、歩行者は自然と片側に誘導されてしまいます。
人が視覚的な流れを手がかりにしながら安定した歩行を行なっていることに着目、レンチキュラシートを用い歩行者が前進すると足元に図柄が流れて見えることを利用して、歩行者の進行方向を誘導するという仕組みです。

新しい有機発光デバイス「LEC」(早稲田大学理工学術院・坂上知准教授)

新しい有機発光デバイス「LEC」(早稲田大学理工学術院・坂上知准教授)


 
 
LEC(Light-emitting Electrochemical Cells)は、発光層を電極で挟むだけで発光する有機デバイス。発光層は発光性ポリマーとイオン液体の混合膜だけという非常にシンプルな構造になっています。電気化学発光による発光方式に新たな技術を取り込み開発したとのことです。
真空設備やクリーンルームが不要なロール・トゥ・ロールやスプレー噴射などの低コストな製造方法で作ることが可能です。
照明やシースルーデバイス、フレキシブルシートなどへの応用が期待できます。

レーザーディスプレイのためのバックライト技術(立命館大学理工学部・藤枝一郎教授)

レーザーディスプレイのためのバックライト技術(立命館大学理工学部・藤枝一郎教授)


 
光ファイバを湾曲させて導光板内部に配置、光ファイバの曲率を調整して光ファイバから漏れ出る光量を設定して、複数の導光板を1本の光ファイバで連結すれば、スーパーハイビジョンで使うような大型の、かつ任意形状のバックライトを実現できます。光ファイバーを振動させてレーザーのスペックル雑音を低減、光ファイバと導光板の屈折率を整合させればシースルーにすることも可能とのこと。液晶パネルと反射板の間に挿入すれば、反射型または透過型の液晶ディスプレイとして機能するので、携帯ディスプレイの明暗所の両方での視認性を確保できます。
 

高演色性LEDデバイスのための新セラミックス蛍光体材料(豊橋技術科学大学大学院工学研究科・中野裕美教授、名古屋工業大学大学院工学研究科・福田功一郎教授)

高演色性LEDデバイスのための新セラミックス蛍光体材料(豊橋技術科学大学大学院工学研究科・中野裕美教授、名古屋工業大学大学院工学研究科・福田功一郎教授)

 白色LEDの演色性を向上させる400nmおよび青色励起蛍光体に係る新規材料技術で、Li-Ta-Ti-O系材料を母体とし、これに賦活剤を添加、同一母体材料でRGBY発光色の蛍光体を創成することができ、固相法や液相法での作製が可能です。液晶テレビやモニター等のバックライトだけでなく、センサーなど多様な用途への可能性も期待できるとのことです。

 
 
 
 
 
 
 
展示会では、表示技術だけでなく、多岐に渡る分野の研究が数多く展示発表されていました。これらの研究が企業との共同研究に進展して広く応用され、世の中のためになることを切に願います。

編集顧問:川尻多加志

 

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