編集長の今月のコメント(2009年11月)

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20090114-kawajiri.JPG 編集長 川尻多加志

急速に普及が進んでいるブルーレイディスクですが,今後はインターネット上でもハイビジョンクラスの動画像が行き交うことが予想されていますし,さらに高精細なスーパーハイビジョンの研究・開発も進んでおり,メモリの世界においても,この流れに対応できる次世代超大容量メモリの研究・開発に注目が集まっています。その中でも,光メモリ分野では近接場光を用いたものやホログラフィックメモリ,2光子吸収を応用した多層メモリなど,様々な方式の研究・開発が内外で活発化しており,その進展から目が離せません。
今月号の特集では,次世代光メモリの有力候補の一つである2光子多層メモリに関する特集を静岡大学・工学部の川田善正教授に企画していただき,注目すべき最新の研究・開発にスポットライトをあててみました。
光メモリは記録や再生といったデータアクセス時以外には余計なエネルギーを使わず,また長期保存も可能でメンテナンスも不要なので,大きな省エネルギー効果を実現するグリーンITデバイスとしても注目を集めています。今後の研究・開発の進展を期待したいですね。
今年のノーベル物理学賞がチャールズ・カオ博士とウィラード・ボイル博士,ジョージ・スミス博士の三人に決まりました。カオ博士の受賞理由は光通信の発展に寄与した光ファイバ技術の開発。同氏は光ファイバのガラスの中に含まれる不純物などが損失の原因であり,これを取り除けば光ファイバ通信は実現できると提唱,この事を世界中に呼びかけ,まさに光ファイバ通信実現の伝道師ともいうべき役割を果たしました。その後,コーニングが実用的な低損失光ファイバの開発に成功して,続いて日本メーカーがさらなる低損失化を達成,世界中に拡がる現在の光ファイバ通信ネットワークの礎をつくりました。
一方のボイル博士とスミス博士の受賞理由は電荷結合素子(CCD)センサの発明。このCCDセンサの実用化でも日本の企業は大きな貢献を果たしました。1979年,松下電器は世界初の白黒CCDカメラを商品化,翌年にはソニーがカラーのCCDを用いたビデオカメラを商品化しています。
光ファイバ通信もCCDセンサも,現代の情報社会にはもはや欠かす事の出来ないもので,今回ともにオプトエレクトロニクス分野の研究・開発が受賞した事は何とも喜ばしい限りです。また,これらの実用化において日本企業が果たした役割には非常に大きいものがありました。アジア諸国のキャッチアップ等によって厳しい環境に立たされている感もある我が国の電子産業ですが,今後の頑張りに期待するとともに,その活躍にエールを贈って行きたいと思います。
総務省が発表した2009年第1四半期(6月末時点)ブロードバンド回線加入者数の調査結果によれば,FTTHは対前期比110.2%の1,588万8,686加入になり,ブロードバンドサービス合計数に占める割合も50%を超えました。2007年9月時点で一桁台の伸びに落ち,2008年12月には4.8%と伸び率が鈍化したFTTHですが,2009年3月には上昇に転じ今回二桁台の伸びに戻した格好です。このまま順調に推移して欲しいですね。

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