編集長の今月のコメント(2010年2月)

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編集長 川尻多加志

今月号の特集は,インプリントリソグラフィ技術のフォトニクスへの応用最新動向を,情報通信研究機構・未来ICT研究センター・ナノICTグループの中尾正史様に企画していただきました。
総論でも述べられていますが,インプリントリソグラフィ技術は大まかにUVインプリント技術と熱インプリント技術に分けることができます。UVインプリント技術は従来のフォトリソグラフィや電子線リソグラフィに置き換わるもので,インプリント可能な素材選択の幅は狭いものの,プロセス時間が短くて済むという特長を持っています。一方の熱インプリント技術は樹脂やガラスを直接加工するもので,成型に要する時間は長いのですが,素材の選択幅が広いという特長を持っています。
インプリントリソグラフィ技術全般の長所としては,原理がシンプルであって安全な装置を使用できる,スループットが高い,高度なプロセス技術が不要であるといった点が挙げられますが,これに加えて最近のもの作りでは必須条件である省エネルギー化や低コスト化を実現できると,各方面より研究・開発の進展に注目が集まっています。
ところで「日経ものづくり」が行なった調査によると,2008年秋の「リーマン危機後,日本製品の全体的な品質についてどう感じるか」という質問に対し「非常に低下している」と答えた人が7.2%,「どちらかというと低下している」と答えた人が40.6%にのぼり,47.8%の人が日本製品の品質が低下したと感じているそうです。一方,「非常に高くなっている」(0.2%)と「どちらかというと高くなっている」(4.6%)はわずか4.8%でした(12月28日付・日経産業新聞)。低下したと感じている人に,その原因を訊ねたところ「コスト削減のために開発費の抑制や生産設備の更新延期が実施されている」が58.2%,続いて「開発/設計のための人員が削減」が46.8%だったとのことです。
いわゆる世界市場のボリュームゾーンをターゲットとした場合には,高コスト化を招くような過剰品質は必要ないとは思いますが,日本製品が持つ高品質というイメージは戦略的に維持して行かないと,ブランド力そのものが下がってしまうということにもなり兼ねないので要注意です。
今回の特集では金型の作製技術,光学素子の高アスペクト比構造の形成,回折格子や高輝度LED,有機デバイス等への応用に関する最新の研究・開発事例を紹介していただきました。インプリントリソグラフィ技術の進展が,日本のもの作りの競争力強化に寄与することを大いに期待しています。
反捕鯨団体シー・シェパードが南極海航行中の日本の調査捕鯨船の乗員にレーザ光線を照射して調査活動を妨害したそうです。どの程度の出力のものかは別として,自分達は正しいのだから何をやっても構わないというスタンスでレーザを悪用する行為に対して,殺人光線を発明したとマスコミの無知によって当初,非難・中傷を浴びたメイマン博士は草葉の陰でどう思っているでしょうか。

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