編集長の今月のコメント(2010年3月)

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※文中の青い文字にはリンクが貼ってありますので、クリックしてご覧下さい。

編集長 川尻多加志

パナソニックが3D対応のプラズマテレビの発売を発表しました。
http://allabout.co.jp/gm/gc/24491/
サイズは50型と54型の2種類、液晶シャッタ方式のメガネを使用して、世界初のフルハイビジョン3D映像を鑑賞できるというものです。同時に、同社はこれも世界初というブルレイディスクレコーダとプレーヤの発売を発表しています(3日後にはソニーもブルレイディスクプレーヤの発売を発表)。
ソニー、シャープ、東芝などの国内勢の他、サムソンやLGといった韓国勢も3Dテレビの市場投入の準備を進めています。ラスベガスで開かれたインターナショナルCESや国内のシーテック等、関連する展示会では会場が3D一色に染まった感もありました。3Dブームは過去にも何回かありましたが、今年はどうも3D元年という言葉が当てはまりそうです。
映画の世界では、ジェームズ・キャメロン監督の3D映画「アバター」が大ヒット、これまでの興行収入記録を塗り替え、記録を更新中です。この映画はストーリーはもちろんですが、3D映像技術の完成度が非常に高いと評判になっています。米国ではデジタル・シネマの普及に伴って3D映画を上映できる劇場が多くありますが、これを機会に日本でも増えていくことが期待されています。また「アバター」以外にもジョージ・ルーカス監督やスティーヴン・スピルバーグ監督が3D作品を手掛けると表明していますので、今後が楽しみです。
劇場で3D映像の素晴らしさを体験した人達が、家庭でもその映像を見てみたいと思うのは自然の流れでしょう。家庭で3D映像を視聴するニーズは着実に高まると期待されています。今月号の特集では、いま話題の立体映像技術を取り上げました。企画していただいたのは、千葉大学名誉教授の本田捷夫先生です。各ご執筆者には立体映像に関する最新の情報を提供していただきました。
本田先生が総論で指摘されているように、立体技術は映画や放送・通信分野だけでなく、メディカル・バイオ分野、デジタル・アーカイブ分野、アミューズメント・公共施設分野、アーケード・ゲーム分野、コンシューマ・ゲーム分野、設計・製造・メンテナンス分野、訓練・教育分野、広告・宣伝分野等々、幅広い分野での利用が期待されています。
なかでも3Dテレビに関しては、韓国や台湾メーカーに奪われたディスプレイ市場を取り戻す絶好のチャンスと、日本メーカーの期待には大きいものがあります。優れた技術を上手くビジネスに繋げてほしいと思います(なお、本特集に載せたかったテーマの幾つかは、残念ながら執筆辞退で掲載できませんでした)。
日本経済研究センターが、各国の2009年潜在競争力の調査結果を発表しました。50か国中、日本は順位を二つ下げて14位に後退してしまったそうです。潜在競争力とは、今後10年間に一人あたりの国内総生産をどれだけ増加させる素地があるかを測る指数。日本の強い分野は「科学技術」や「企業」で、弱い分野は「政府」「インフラ」「金融」ということです。成長戦略としての経済政策の基本が、節約と埋蔵金だけでないことを期待しています。

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