編集長の今月のコメント(2010年10月)

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編集長 川尻多加志

レーザーディスプレイは圧倒的な色再現性や装置の小型化・低消費電力化を実現する第3世代のディスプレイと注目を集めています。ここ数年、テレビや携帯プロジェクタ、データプロジェクタと、商品化も次々と進んでいますが、さらなる進展のための研究・開発は今も活発に進められています。
今月号では、大阪大学光科学センター・副センター長の山本和久特任教授にレーザーディスプレイを切り口とした特集を企画していただきました。レーザーディスプレイの商品化を支えてきたのは様々な要素技術の進歩ですが、最近では直接緑色を発振できる半導体レーザーが注目を集めています。今回の特集でもc面
GaN
基板上の緑色半導体レーザーや{2021}半極性GaN基板を用いた半導体レーザーをご紹介いただきました。
特集では、この他にも638nm赤色半導体レーザーや携帯型レーザープロジェクタ、車載用ヘッドアップディスプレイ、超短焦点レーザープロジェクタなど、本分野における注目の研究・開発事例を紹介していただきました。
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光関連製品市場情報をお届けして来た好評の「DATA ROOM」が、今月号よりさらに進化・ボリュームアップして、新しく「Market Watch」として生まれ変わりました。新企画では、従来の光製品生産・販売統計に加え,各光関連業界団体による市場予測や国内外の調査会社からの最新市場リポートを豊富な図表を交えて紹介して行きます。
今月号では、アップル社のiPadとディスプレイ市場についてまとめてみました。複数の視点から市場と技術を多角的に見ることで,新たな事実が浮かび上がります。この他にも最新の市場動向を数多く掲載して行きますので、今後の事業展開の貴重な情報源として、また業界トレンドの把握にご活用下さい。
9月11日付の読売新聞の夕刊に気になる記事が載っていました。独協大学の竹田いさみ教授(国際政治学)が「論壇世界ナビ」というコーナーで「受注競争 政府主導の波」と題し、最近の国際ビジネスにおける日本企業敗退の背景を、海外メディアの論文をもとに分析しています。以下、引用しつつ紹介します。
UAEへの原子力発電所売り込みで、日本企業が土壇場で韓国に敗れたのは記憶に新しい事ですが、日本企業はこの他にも新興国受注競争で苦戦を強いられています。残念ながら、そこでは清く、正しく、美しく、裏切らず、法令を遵守して接待交際費も削減する日本型ビジネスは通用しません。韓国では大統領自らが陣頭指揮を行ない、政府の情報機関を動員して競争相手の入札情報や接待費を調べ、それを上回る好条件を提示したそうです。世界は民間企業の国際競争に政府が前面に押し出る時代に逆戻りして、一企業による孤軍奮闘の時代はもはや終わりを告げたと述べています。
「では日本も!」と思うのですが、皮肉にも日本は見事なまでに民主主義と自由主義を謳歌する国家へと成長したことで、世界トレンドである国家資本主義の波に乗ることが出来なくなってしまったそうです!?
中国でグーグルが規制されたように、UAEはカナダ製のブラックベリーが盗聴もメール検閲もできないという理由で使用禁止を発表しました。中国やインド、サウジアラビアでも制限論が浮上、普段は言論の自由やプライバシーを振りかざすはずのカナダはあっけなく降参して幕引きを図ろうとしているそうです。竹田教授は世界の富の前に既存の正義が揺らいでいると指摘します。

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